(閉・戻)

ヘレンケラーと中村久子        知ってるつもり  平成11年11月21日

 生れながら、3重苦を背負った、ヘレンケラー。
1才で発病した壊疽が原因で3才の時に両手両足を切断される中村久子。
ヘレンは家庭教師に、久子は母に、生きてゆく術を学ぶ。
ヘレンが50才を過ぎて日本に来た時、久子に会う。
両手が義手であることを知ったヘレンは久子と感涙の対面。

 久子は少女時代、口ひとつだけで縫物や墨筆をものにするが、病気療養でふくらんだ
借金を返すために見せ物に出される。厳しい母を憎み、見物客の誹謗に口悔しく思うが、
生い立ちを書いた文章が認められる。それが縁で、義足を贈られ、自分で自由に歩ける
喜びを手にする。2度目の結婚で2子をもうけ、つかの間の幸せをかみしめるが、2度
目も夫に死別され、生きてゆくために3度目の結婚をする。

 夫(中村)は献身的で、久子の2子も大きくなり、やっと生活も落ち着く。
請われて講演を始めたが、どんなことも乗り越えられると人に説いて慢心する自分がい
やになり、講演をやめ、ある日一人の寝たきりの女性に出会い、その誰も憎まずただ感
謝の念で生きる姿を見て、自分も内省を深め、もとの見せ物に戻る。そこで自分のでき
る範囲の芸を精一杯、こなしていくなかで、生かされている自分に満足する。久子は自
分はこの体に教えられたと言う。

 現代は外へ外へと出て行く時勢だが、心の内面をみつめ、深めて、自分の心の力を信
じて、精神の深化と高みを求めなさいと、両者は同じく言う。