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奇跡の心臓手術(湘南鎌倉病院)

 S医師の日本初のバチスタ手術(拡張型心筋症患者の心臓手術で、肥大し
た心臓を一部切除する)がNHKプロジェクトχに取り上げられた。心臓外科医H
医師と取り組む、最初の手術は平成8年12月2日、  患者はHNさん。リス
クの高い手術であることでもあと半年の命と言われた後では一すじの光明に見え
て手術前は、以前と打って変わって明るくなった日高さん。心臓の左心室のうしろ
1/3をも切除して縫合しなおした。(私は切り取られた方を見て驚きました)

HNさんは不幸にも術後まもなく肺炎を発病し呼吸不全で亡くなる。もうこの手
術はやるまいと考えていたところの1か月後、HNさんの奥さんから、この手術を
続けて下さいとの手紙がS医師に届く。この手紙がもう一度だけ挑戦する気を起
こさせた。マスコミや他の医師にたたかれても日本中に1万人以上もの同症の患者
が待っていたのだ。(私はこの奥さんの手紙で涙をこぼしてしまった。)

夫婦で寿司屋を営むOHさんの妻、NさんはHNさんの手術前は受けてみ
たいと思ったものの失敗を知ってことのほか夫が沈んでいたが、それでも彼女はこ
のまま夫と生きていけなくなるのであれば手術を受けてみようと決断した。

世間の批判の重圧の中で、S医師は九州の心臓外科医I医師を呼んで再度同じ
メンバーでプロジェクトチームを組む。平成9年3月11日、 ONさんのバチ
スタ手術が行われた。今回は切開の精度をあげるため心臓を停止させた。人工心肺
をつけて手術が行われた。手術は成功した。術前のS医師は切開のイメージトレ
ーニングをしていた。前回から参加してS医師を全面的に支えてきた鹿児島出身
の看護婦NMさんの用意周到な見直しも効を奏したようだ。看護婦のNMさん
は縫合直後の心臓の鼓動を再開させる電気刺激のところで心臓が「もっと動け、も
っと動け!」と心の中で叫んでいた。1か月後の4月11日にONさんは退院した。
N子さんはM雄さんの運転で鎌倉の桜を見た。こんな美しい桜は生まれて初めてと
N子さんは言っていた。

S医師は「患者さんが医者に力を与えて下さる」って言ってました。 S医師
は若い頃、実力をつけたくても学閥がはびこる日本がいやになり海外で数千例の手
術を経験して実力をつけ、神の手と呼ばれるようになった。それでも最初の失敗時
マスコミや他の医師に時期尚早や危険な手術でやるべきでないなどと非難された。
他に方法がない患者をバチスタ手術で次々に救い、現在に至る。

平成13年1月16日                        以上